永代供養の費用相場とメリット・デメリット

皆さんは「永代供養」という言葉を耳にされたことがありますか。
永代供養は、ここ数年、永代供養に対するニーズや関心が高まっている供養方法です。
では、なぜ永代供養に対するニーズや関心が高まっているのでしょうか。もしかしたら、永代供養には、とても魅力的なことがあるのでは!?
そこで今回は、永代供養についてご紹介します。

永代供養とは?

永代供養は、「えいたいくよう」または「えいだいくよう」と読みます。
永代供養とは、永代的に遺骨の管理・供養を行うことを指します。
広い意味合いとしては、個別的な遺骨だけでなく、先祖供養までをも含みます。

永代供養の最も多い意味合いとして認識されているのが、永代供養墓などを管理運営している寺院や霊園に依頼して、遺骨の管理や供養をしてもらう場合です。

注意が必要なのは、「永代」という言葉です。
永代供養は「永遠(永久)に代々、供養をする」ということではなく、一般的に「永い代(ながいだい)に渡って供養をする」ということを意味しています。したがいまして、無期限に管理・供養をしてもらえるものではなく、通常は有期限の管理・供養を意味します。

この有期限については、永代供養の依頼先によって、それぞれ定められており、たとえば仏教の場合、三十三回忌や五十回忌を弔い上げとしていることから、この年忌法要の終了時点を管理・供養の期限としているところがあります。

また、遺骨の管理については、最初から合祀(ごうし)をするところと、一定期間は個別に遺骨を保管し、一定期間経過後に合祀をするところとがあります。
「合祀」とは、他の方の遺骨と同じスペースに一緒に埋蔵することであり、他の方の遺骨と混在した状態になります。

なお、永代供養と一口に言いましても、永代供養墓(合同墓・合祀墓)、納骨堂、樹木葬など、その方法には様々な種類、形態があります。

永代供養の利用者が増えている理由

ひと昔前までは、誰かが亡くなれば、先祖代々のお墓に入ることが普通でした。
ところが、ここ数年、永代供養の利用者が増加している傾向にあります。

その主な理由には次の3つのような理由が考えられます。

  1. 核家族化、少子化、単身世帯の増加などの影響により、お墓を継いでいく人がいないケースが増えているから。
  2. 価値観の多様化に伴い、葬儀やお墓、供養方法も色々なスタイルが生まれているから。
  3. 経済的格差の広がりによる影響で、従来の墓石を購入することが出来ず、費用的負担の少ない供養方法を求める方が増えているから。

永代供養のメリット

永代供養のメリットには、次の3つのようなメリットがあります。

遺骨の管理・供養を寺院や霊園の管理者に任せられる

遺骨やお墓の管理、供養を寺院や霊園管理者が行ってくれます。
身体が不自由な為に墓地に行くことが困難な方でも安心です。

お墓の承継者が不要である

お墓によっては、承継者が必要となりますが、永代供養の場合には不要です。

墓石を建てるお墓を購入する場合と比較して、費用負担が軽いことが多い

従来の墓石を建てるタイプのお墓を購入する場合と比べますと、各種条件や状況によりますが、永代供養にかかる費用は少なくて済む傾向にあります。

永代供養のデメリット

一方、永代供養のデメリットには、次の2つデメリットがあります。

永代供養の形態によって改葬は不可能となる

合祀されてしまう形態の永代供養の場合、遺骨は他の方の遺骨と混じり合っている状態の為、特定の遺骨のみ取り出すことが出来ず、一度合祀してしまうと他のお墓に引っ越すなどの改葬は不可能となります。

家族や親族から反対意見や批判が出ることもある

家族や親族がいる場合で、永代供養を利用される場合には、従来からの馴染みのある供養スタイルではないため、永代供養を受け入れられない方がいる可能性もあり、家族や親族から反対意見や批判が出ることもあります。
また、潔癖症的な感じ方の問題で、合祀されることを拒絶する方もいます。

⚠︎注意点

なお、サイトによっては、永代供養のデメリットとして、「お墓参りができない」ことを挙げているところもありますが、永代供養で必ずしもお墓参りが出来ないわけではありません。
例えば個別に遺骨を保管している納骨堂では、一般的にお墓参りが出来ますし、合祀される永代供養墓でも、個々のお墓で行うスタイルとは異なりますが、お墓参り自体は可能です。

永代供養にかかる費用の料金相場

さて、永代供養にかかる費用については最も気になる点の一つだと思います。
一般的に永代供養の費用の料金相場は50万円前後と言われていますが、2018年3月に実施された、いいお墓の「第8回 お墓の消費者全国実態調査」の資料によりますと、永代供養にかかる費用総額の平均は82.3万円となっています。

永代供養の費用総額の分布グラフと平均費用

また、永代供養のひとつ、「樹木葬」は比較的金額が安めで、平均74.1万円となっています。逆に、納骨堂のような永代供養のスタイルですと、やや費用が高くなり、平均86.3万円となります。

樹木葬の費用総額の分布グラフと平均費用

納骨堂その他の費用総額の分布グラフと平均費用

最初から合祀してしまうスタイルの永代供養墓ですと、安いところであれば10万円程度で利用出来るところもありますし、一定期間は遺骨を個別に保管し、その後合祀するような施設の場合には150万円、200万円を超えるようなところもあります。

永代供養にかかる費用でも、最初に一度支払う永代供養料のみで済む場合もあれば、個別に遺骨を保管する形態の場合には、その後毎年管理料を支払うところもあります。管理料は、年間5千円から2万円が目安です。

永代供養料と永代使用料の違い

永代供養料と似ている言葉に、「永代使用料」があります。
たまに混同されてしまう方もいるようなので、永代使用料の意味についても簡単にお伝えしておきます。
永代使用料は、通常お墓の購入をする際に使われる言葉で、「墓地を永代的に使用する権利を取得するための料金」のことです。

従来からある墓地に墓石を建てるスタイルの場合、よく「墓地を買う」という言い方がされますが、これは正確に言いますと、墓地は「買う」のではなく「借りる」のです。
ですから、墓地の所有権は寺院や霊園が持ち続け、わたしたちは永代使用料を支払うことで、墓地の上に墓石を建てることが出来るようになるのです。

永代供養と宗派との関係

永代供養の場合、宗教宗派は不問としているところが多数です。公営の永代供養施設であれば、まず宗教宗派は不問です。

ただし、寺院が運営管理しているところでは、宗教は仏教が前提となっているところもありますし、宗派も制限している場合があります。
この点は、利用を希望される場合、宗教宗派の条件があるかどうか、対象の寺院に確認をする必要があります。

永代供養を検討するときの注意点

永代供養を検討するとき、注意していただきたい点がありますので、ここで5点紹介させていただきます。

  1. 永代供養は、無期限に遺骨の管理・供養を依頼出来るものではなく、一般的に有期限の管理・供養であることを理解しておく。
  2. デメリットの項目でもお伝えしたように、永代供養というスタイルを受け入れられない方もいる可能性もありますので、家族や親族がいる場合には、充分に話し合っておく。
  3. 合祀された後は、特定の遺骨のみ取り出し、別のお墓に引っ越すなど改葬が出来なくなりますので、予め注意しておく。
  4. 先祖代々のお墓がある場合には、先祖代々のお墓もどうするかを念頭に置き、墓じまいや改葬をするのであれば、事前に寺院や霊園に相談をしておく。
  5. 菩提寺がある場合には、菩提寺の住職にも事前に相談をしておく。

まとめ

今回は、永代供養ついて紹介しましたが、いかがでしたか。
核家族化、少子化、単身世帯の増加、価値観の多様化は、今後もしばらく続いていくと思われますので、永代供養を利用される方も、ますます増加していくものと考えられます。

メリットとデメリットを並べてみますと、永代供養にはメリットの方が多いようですが、少なからずともデメリットも存在します。
お墓や供養は、世代を超えて関わってくる事柄でもありますし、長い目線で考えていくようにしましょう。