檀家になるメリット・デメリットと費用・寄付の金額相場

みなさんは、「檀家(だんか)」という言葉をご存知でしょうか?
学校の歴史の授業でも、檀家という言葉が出てきましたし、どこかで耳にされたことはあると思います。

火葬式、無宗教葬、自然葬などお葬式のスタイルは多様化していますが、それでも現在のところ、お坊さんをお呼びする仏教での葬儀が圧倒的主流で、お墓の種類についても同じく多様化していますが、やはり仏教にもとづいたお墓が、まだまだ主流です。

この仏教で葬儀を行うときや、お墓の購入をするとき、「檀家」のことは、多くの方にとって大いに関係する事柄です。
そこで今回は、檀家について紹介させていただきます。

檀家とは?

檀家とは、「特定の寺院に所属し、主にお布施や寄付を行うことで経済面を中心に、寺院を支える役割を持つ家」のことです。

「家」という字が示しているとおり、個人単位ではなく、家単位で所属します。この檀家が所属する特定の寺院のことを「菩提寺(ぼだいじ)」と言います。

菩提寺は檀家に対して、先祖供養、葬儀、法要などを行いますが、これらを継続して行えるようにするためにも、檀家は菩提寺を支えていくことになります。

もともとは江戸時代、幕府が人民管理、宗教統制のための施策として寺請(てらうけ)制度を設けたことによって、各家は、いずれかの寺院に必ず所属する決まりになったことが、現在の檀家制度、菩提寺と檀家の関係に繋がっています。

厳密的には違うところもありますが、現代風に解りやすく言いますと、檀家制度は、お寺が持っている会員システムというイメージです。
つまり、お寺が会員システムの運営主体で、檀家は会員という位置づけです。

檀家になるメリット

檀家になるメリットには、主に次の3つのようなことがあります。

葬儀・法要を行うときの依頼先がある

檀家になると、葬儀や法要を行うときに依頼出来る先が決まっているという安心感があります。特に葬儀の場合、限られた時間の中で、依頼する寺院を決めることから行うのは大変なことです。
また、葬儀社に寺院の紹介を依頼することも出来ますが、どんなお坊さんが来るのか分からないのは不安ですよね。その点、檀家になっていると、いざという時の依頼先があるので安心です。

先祖供養・お墓に関する相談先がある

檀家になっていると、葬儀、先祖供養、お墓のことなど、質問や相談に応じてくださいます。基本的に菩提寺と檀家は継続的な関係ですから、その場しのぎではなく、各家庭の事情も理解したうえで、応じてくださるという点もメリットです。

檀家以外の家より優先対応してくれる

檀家ではない家の事よりも、檀家のほうを優先して対応してもらえます。
寺院によっては、檀家ではない家の葬儀や法要も行いますが、檀家と、檀家ではない家からの依頼が重なった場合などについては、可能な限り檀家を優先してくださいます。

檀家になるデメリット

檀家になる事はメリットばかりではありません。もちろん、デメリットもあります。デメリットには、主に次の3つのようなことがあります。

お布施・護寺会費などの費用負担がある

檀家に入っていると、御布施、寄付、護寺会費などの費用が必要になってきます。寺院を維持していくことを支援するために、主に檀家で構成される護寺会という組織があります。
檀家になるには、この護寺会への入会も条件とされることが一般的で、護寺会費という会費がかかってきます。

他宗教宗派・無宗教の葬儀や供養は原則出来ない

他宗教宗派、無宗教での葬儀や供養は、原則出来なくなります。例えば、キリスト教を信仰していたとしても、キリスト教での葬儀は出来ないことになります。
特にお墓が、菩提寺の墓地にある場合には、他の宗教宗派や無宗教で葬儀を行ってしまうと、納骨を拒否されてしまうこともあります。

檀家をやめるときに、離檀料がかかる

いざ、檀家をやめたいとなったときに、離壇料を求められることがあります。離壇料については、数十万円~数百万円を求められることもあり、トラブルに発展する事例もあります。

檀家になる費用・寄付の金額相場

檀家になる際に必要な費用は、主に入檀料と護寺会費です。
入檀料は、入会費のようなもので、10万円~30万円が相場です。寺院によって、入壇料は不要なところもあります。

護寺会費は、年5千円~2万円が相場で、入檀以降、毎年負担する費用です。この護寺会費は、寺院ではなく護寺会に納めることになります。

ただし、地域や寺院によって、費用の有無、金額の大小は異なりますし、別の名目で費用負担が必要になる場合もありますので、実際に檀家になることを検討されている方は注意が必要です。

なお、檀家になった以降は、葬儀や法要を依頼すればお布施が必要になります。
それから、本堂や駐車場などの設備修繕や改修に伴う寄付金の負担を求められることもありますし、菩提寺の墓地にお墓がある場合には、墓地の管理料が別に必要となってきます。

入檀の方法(檀家への入り方)

特に複雑な手続きはありません。
一般的に寺院の住職と面談し、諸々の説明を受けたあと、入檀申込書の提出や契約書の取り交わしを行い、入壇料等必要な支払を済ませれば完了です。

もし、檀家になる寺院が運営・管理する墓地を利用する場合には、入壇の申込書や契約書とは別に、墓地に関する契約手続き、永代使用料や管理料の支払いを行うことになります。

離檀の方法(檀家からの出方)

離壇をする場合には、まず寺院の住職に離壇をする旨を伝え、離壇に関する通知書や、解約書の提出を行います。

寺院によっては、離壇料を求められることがあります。
離壇料を寺院から求められなくても、先祖代々お世話になってきた寺院に対して、感謝の気持ちとしてお布施をお包みする場合もあります。
離壇料は10万円~20万円が目安です。

また、離壇する場合で、寺院の墓地にお墓がある場合には、墓地の解約も必要です。
墓地は更地に戻し、お寺に返還を行うことになります。

墓檀家という新しい流れ

最近は、「墓檀家(はかだんか)」という形態も認知されつつあります。

墓檀家は、寺院の檀家にはならないけれど、寺院の運営・管理する墓地にお墓を購入し、お墓に関する法要のみ依頼できるという関係になります。
「お墓に関する法要」に何が含まれるかは、寺院によって異なりますが、おおむね開眼供養、納骨法要のことを指します。

墓檀家になる場合、宗派不問としている寺院もありますが、宗教については仏教に限定しているところが多いようです。

まとめ

今回は、檀家についてお伝えいたしましたが、いかがでしたか。

今回お伝えしたポイントをまとめておきます。

  • 檀家とは、「特定の寺院に所属し、寺院を支える役割を持つ家」のことである。
  • 檀家になるメリットには、「葬儀や法要を依頼する先が決まっていることで得られる安心感がある」、「質問や相談に関し、その場しのぎでは無い対応が得られる」ことなどがある。
  • 檀家になるデメリットには、「入壇料などの費用がかかる」、「他の宗教宗派で葬儀や供養を行うことができなくなる」ことなどがある。
  • 檀家になる際に必要な費用は、主に入檀料と護寺会費であり、入檀料は10万円~30万円、護寺会費は年5千円~2万円が相場である。
  • お墓に関する法要のみ寺院に依頼できる「墓檀家」という新しい形態もある。

檀家について、色々とお伝えしましたが、地域や寺院によって名称や金額の相場などが違うこともあります。

菩提寺と檀家の関係は、世代を超え、基本的に長期に渡って、続くもの(続いてきたもの)ですから、そのときの感情や価値観だけではなく、長い目で見てお考えいただくと良いでしょう。